契約の締結に関する改正:定型約款



⬛定型約款についての規定が新設されます!

【(1)定型的な取引における約款に効力を認める】

【改正内容】

定型的な取引においては、約款を契約の内容とすることに合意した場合、相手方が約款の個別内容を認識していなくても有効となる(みなし合意)。

※「定型約款」とは、(1)不特定多数の者を相手方として行う取引であって、(2)内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的な取引を対象として、(3)契約の内容とすることを目的として、事業者等が準備したものをいいます。

★保険契約・不動産契約・銀行取引・鉄道等の輸送取引・宿泊施設等の利用規約・WEBサイトの利用規約などが該当します。

※ これ以外の約款や当事者間で内容の修正が可能な「ひな形」は、定型約款に該当しません。


◆【みなし合意】とみなされるケース

★(1)定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。

   契約書に「本契約に定めた事項以外は、利用契約による」と定めてる場合には、定型約款を相手方が見ていなくても合意が成立。


★(2)定型約款準備者があらかじめ定型定款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

   契約書を取り交わさない場合でも、定型約款を配付して表示している場合は、相手方が見ていなくても合意が成立。

※ インタネットのWEBサイトに約款のリンクを貼っているだけでは合意は成立しません。契約内容が当該約款によるものであることを示さなければなりません。


★該当条文【改正548条2】(要約版)

(定型約款の合意)

 定型取引をを行うことの合意をした者は、次に掲げる場合には、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす。

一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下、
定型約款準備者という)が、予め、その定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。


【(2) 約款の効力の制限】

【改正内容】

定型的な約款を作成した者は、取引相手が求めた場合に約款の内容を開示しなければなりません。取引前において、正当な理由がなく開示しない場合には、約款の効力はなくなります。

 また、不当な(取引相手の権利の制限や義務を加重するなど)条項が約款に含まれている場合、その条項の効力(みなし合意は成立しない)はなくなります。

 


★該当条文【改正548条3】(要約版)

(定型約款の内容の表示)
   定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。

 


【(3) 定型約款の変更】

【改正内容】

定型約款の提供者が合理的事情(条文の一・二)により、条項を変更することができます。

 


★該当条文【改正548条4】(要約版)

(定型約款の変更)
   定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。

二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

 


【徒然やまとコラム】

★定型約款は、これまでの民法にはなかった新しい規定の新設です。現行の取引に係る契約において、その契約内容を規定した書面が「定型約款」に該当するか否かの確認が必要となります。該当する場合には、改正条文の対応をすることによって、約款の効力を活用できます。

★取引前に、約款の内容を契約内容とすることの合意、または相手方にあらかじめ示す必要があります。後の紛争を未然に防ぐためにも、定型約款を契約内容とする説明を受けたことの「確認書」等を取っておくなどの対応が必要となります。

★また、施行日前に締結された契約にも、改正後の民法が適用されますが、平成30年(2018年)4月1日から施行日前(平成32年(2020年)3月31日まで)に反対の意思表示をすれば、改正後の民法は適用されないこととされてます。

なお、反対の意思表示をする場合には、慎重な検討が求められてますので、注意が必要です。

 

★定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」については、こちらへ(法務省)