履行の解除に係る改正:契約の解除



⬛契約の解除要件が見直されます

【改正内容】

契約を解除する場合、契約の不適合があればよく、売主の責任(帰責事由)は不要となります。(売主の過失がなくても解除できるに変更されます。)

債務不履行が軽微な場合には解除できません。


改正法では、原則としては、売主の責任の有無を問わず、追完請求の履行の催告をした後、契約解除することができます。ただし、追完が不可能であったり、催告しても目的を達成される見込みがない場合には、催告なしで契約解除が可能となります。

★ただし、軽微な不適合では解除できないため、「何が軽微なのか」の判断には、契約の目的を明確に定める必要があります。


★該当条文【改正542条】(原文)

(催告によらない解除)

   次に掲げる場合には、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。


一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。


四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。


2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。


★該当条文【改正541条】(原文)

(催告による解除)

   当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。


【徒然やまとコラム】

★実務の場面では、債務不履行の状況になると、催告なしですぐに買主から契約解除される可能性があります。このため、契約においては、解除を受けない契約条項(債務不履行の許容範囲など)を定めて、契約書の締結が必要となります。

★一方、買主は、「本契約に違反した場合には、本契約を直ちに解除することができる」として催告を不要とする方法もあります。

★また、売主・買主ともに、「不適合か、軽微か」の判断においては、契約の目的を達成したか否かにかかってますので、契約の目的条項が重要となってきます。