当事務所がご支援している高齢者のなかには、70歳を過ぎて、健康と医療について、これからの自分に係る医療制度と介護保険制度が気になる方が多くいらっしゃいます。
75歳の誕生日が「医療」と「介護」の分かれ道となります。
75歳を過ぎて、80歳以降に、施設を検討される方が増加してますが、施設を考える前に、押さえる制度の要点について、説明します。
70~74歳は、暮らしは、まだ自立していても、体調や家族の状況が少しずつ変わり始める時期です。
同時に制度の面では、75歳で、「医療保険」の枠組みが切り替わります。
◆ 介護施設を検討する「その前」に、「医療」と「介護」を一つの地図に落として、整理しておきましょう。
(1)75歳で医療保険が自動的に切り替わります(後期高齢者医療制度)
後期高齢者医療制度は、原則75歳以上の方が加入します。
75歳の誕生日から自動的に切り替わり、それまで入っていた健康保険(会社の保険・国民健康保険など)は脱退扱いになります。
会社員の扶養(被扶養者)だった方も、75歳以降は原則として「自分の保険料」を負担する側に変わります。
家計の見通しを立てるうえで、ここが最初のポイントです。
(2)保険料と窓口負担(1割・2割・3割)を先に把握する
後期高齢者医療の保険料は個人単位で決まり、「均等割」と「所得割」を組み合わせて計算されます。
保険料率や上限額は都道府県ごとに異なり、見直しも行われます。納付方法も、年金天引きになる場合と、納付書・口座振替になる場合があります。
医療機関の窓口負担は、所得に応じて、「1割」・「2割」・「3割」です。2割になるかどうかは「世帯で判定」され、課税所得や年金収入等をもとに、判断されます。「自分はどれに当たるのか」は、届く通知で必ず確認できます。
(3)2割負担の配慮措置は終了。高額療養費で「上限」がある
2割負担の導入時にあった外来の負担増を抑える仕組み(配慮措置)は終了しています。
ただし、外来を含む医療費の自己負担には、高額療養費制度による上限があり、一定額を超えた分は、後から払い戻されます。通院が増えたときに“青天井にならない”点は、安心材料として覚えておくと良いでしょう。
(4)受診時に出すものが変わる:マイナ保険証/資格確認書
従来の健康保険証は2024年12月2日以降、新規発行が終了しました。有効期限は最長でも2025年12月1日までで、2025年12月2日以降の受診は、「マイナ保険証」(利用登録したマイナンバーカード)か、「資格確認書」が基本になります。
移行期の混乱を避けるため、期限切れの保険証を持参してしまった場合の暫定的な取扱い(資格確認のうえ一定負担で受診できる運用)が2026年3月末まで示されています。
(5)介護は、要支援→要介護で「相談先」と「使えるサービス」が変わる
介護サービスを使うには、市区町村で「要介護(要支援)」認定を受けます。
一般的には、【申請→訪問調査→主治医意見書→審査判定→認定結果】、という流れで決まります。
認定には有効期限があるため更新があり、状態が悪化したときは途中で「区分変更」の申請もできます。
◆ 要支援(要支援1・要支援2)は「介護予防」が中心で、地域包括支援センター等がケアプラン作成を担います。
◆ 要介護(要介護1~要介護5)になると、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作り、必要に応じて施設の紹介や調整も行います。
つまり、要支援から要介護に変わると、支援体制が一段階「実務的」になり、サービス量や選択肢も増えます。
その一方で、施設によっては、入所要件が介護度に連動します。ここも、施設入居を検討する方は、重要なポイントとなります。
(6)施設を考えるなら知っておきたい「入所条件」と「費用の構造」
介護施設の費用は、次のとおりとなります。
① 介護保険サービスの自己負担(所得により原則1~3割)
② 食費・居住費
③ 日常生活費に分かれます。
介護保険で軽くなるのは主に①で、②③は別枠になりやすい点が重要です。
なお、介護の自己負担割合は毎年交付される「介護保険負担割合証」で確認できます。
また、特別養護老人ホーム(特養)は、「原則として要介護3以上」が新規入所の基本です。
(例外的に要介護1・2でも入所できるケースはあります)。
「要介護になったらすぐ特養へ」とは限らないため、介護度の意味を現実面でも理解しておきましょう。
(7)家計を守る“軽減制度”は、申請が必要なものがあります。
費用を抑える制度は、医療と介護にまたがって、複数あります。代表的には、次のとおりです。
➀ 医療:高額療養費(医療費自己負担に上限)
➁介護:高額介護サービス費(月々の介護自己負担に上限)
➂医療+介護:高額医療・高額介護合算(年単位で合算し上限)
④施設の食費・居住費:所得等に応じた軽減(補足給付)
特に後者2つは、該当しても“自動で適用されない”ことがあるため、制度を知っているかどうかが差になります。
【まとめ】
70代前半の今、いちばん効く準備は「制度の切り替え点を知ること」です。
75歳で医療が切り替わり、要支援から要介護で介護の窓口が変わり、費用には上限や軽減策がある――この全体像を先に押さえておけば、施設を検討する局面でも、必要以上に不安に引きずられずに判断できます。
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