後継者がいない農業の経営継承は、どうする?



~「廃業」だけが選択肢ではありません~

 

近年、高齢化により「農業を続けたいが後継者がいない」という悩みを抱える農業者が増えています。

当事務所には、今年に入って、多くの方がご相談にお越しいただいております。

 

農林水産省の調査でも、基幹的農業従事者の平均年齢は70歳以上となっており、多くの農業経営体が継承問題に直面しています。

 

しかし、後継者がいないからといって、長年築き上げた農地や農業技術を失わせる必要はありません。  

 

今回は、後継者のいない高齢農業者が検討すべき「農業の経営継承」の方法について、解説します。 


1.農業の経営継承には3つの方法があります

 

(1)親族内継承

子や孫など親族に経営を引き継ぐ方法です。従来は最も一般的な方法でしたが、子どもが会社員になっている 、都市部に居住している 、農業を継ぐ意思がない、などの理由から、近年は大幅に減少傾向にあります。

 

(2)第三者継承

親族以外の新規就農者や従業員へ承継する方法です。

最近では、農業法人の従業員、研修生、地域外からの新規就農者が経営を引き継ぐケースが増えています。

農地だけでなく、ハウス、農業機械、農機具、農業用倉庫・施設、販路、栽培技術等も、一緒に承継できるため、地域農業の維持にもつながります。

 

(3)法人化して継承

個人経営の場合でも、将来的な承継を見据えて法人化する方法があります。法人化すると、株式の譲渡、役員交代、により経営権の継承が容易になります。特に一定規模以上の経営では有効な選択肢です。

 


2.農地は自由に譲渡できない

 

農業継承で最も重要なのが「農地」です。「農地」は一般の土地(不動産)と異なり、売買や賃貸借には農地法の許可が必要です。

例えば、農地を売却する場合、農地を貸し付ける場合、農業法人へ移転する場合などは、農業委員会や都道府県知事の許可が必要になります。

 

このため、農業継承については、農業からリタイヤ直前に考えるのではなく、数年前から計画的に準備することが必要となります。


3.農地中間管理機構(農地バンク)の活用

 

後継者がいない場合は、農地を遊休化させないことが重要です。

 

その方法として活用されているのが、「農地中間管理機構」(農地バンク)(都道府県単位)です。農地中間管理機構(農地バンク)は平成26年4月に制度化され、平成7年4月からは、地域計画区域内の利用権設定事業も、農地バンク経由で1本化されています。

 

農地バンクを利用すると、農地をまとめて貸し出せる、耕作放棄を防げる、地域の担い手へ集積できる、というメリットがあります。

 

このため、高齢になり耕作(家族経営)も難しくなった場合や、担い手のリタイヤなどでは、有力な選択肢です。


4.経営資産の継承も最重要です!

 

農業継承は農地だけではありません。次のような農業経営上の資産も、農業承継の重要な資産です。

 

(1)有形資産

トラクター、コンバイン、農業用ドローン、ビニールハウス、農業用倉庫、管理機、選果機、発電機、動力噴霧機、軽トラック、井戸、播種機、農具等で、耕作・栽培等の営農には欠かせない農業機械等です。 

 

(2)無形資産(取引先との関係)

取引先、ブランド、栽培・技術ノウハウ、従業員、営農記録、特に販路や技術は数字に表れない重要な財産です。

 

これらは、営農引継書やマニュアルを作成しておくことで、承継後の経営が安定しやすくなります。

 


5.相続対策も同時に進める

 

農業経営継承では、相続問題が発生することも少なくありません。

 

例えば、農業を継ぐ子が一人、相続人は複数 というケースでは、農地の共有化が問題となります。農地が共有になると、売却 、貸付 、経営判断等が複雑になるため注意が必要です。そのため、遺言公正証書の作成 、生前贈与の検討、家族会議の開催を早めに行うことが大切です。


6.農業経営継承は「早めの準備」が成功の鍵

 

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、病気や事故は突然訪れます。

 

農業承継で最も多い失敗は、「準備を始めるのが遅すぎた」というケースです。農業経営スケジュールは、①70歳までに承継方針を決定、②75歳までに後継者を確定、③80歳までに実質的な経営移譲をもって、計画的に進めることが必要です。

 

農業ができなくなって対策を講じても、農業経営を任される後継者は見つかりません。事前に、専門の農業経営アドバイザーに相談することが成功の秘訣です。

 


7 これからの対策

 

後継者のいない高齢農業者であっても、第三者継承、農業法人への継承、農地バンクの活用 など、多くの選択肢があります。

 

大切なのは、「農地を残すこと」ではなく、「農業経営を次世代につなぐこと」です。

 

長年培った貴方の「農地、技術、機械、販路」を地域の財産として引き継ぐためにも、できるだけ早い段階から継承計画を立てることをおすすめします。

 


8 行政書士やまと総合法務事務所へのご相談とその活用

 

当事務所は、農業法人(農地所有適格法人)設立、農地法転用許可、農地除外申請・開発許可、農業関連の補助金申請、事業継承、相続・遺言(農地の移転含む)、外国人就労支援など、農業に関する事案はすべて対応させて頂いております。

(これまで、北海道から九州までの個人農業者・農業法人様について、継続的な支援実績が多数あります。)

 

行政書士やまと総合法務事務所は、農業経営者の皆様を全力でサポートしておりますので、お気軽に、ご相談ください。