人生100年時代に何が必要?


   人生100年時代について、金融庁は先月3日に、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書をまとめ、多くの方が不安を感じたところです。長寿化によって、会社を定年退職した後の人生(30年以上)が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示し、貯蓄や資産運用などを行うことが必要との報告書でした。

   それは、貯蓄などを十分に持っている一部の人のことであって、 多くの一般の方は、人生100年時代を過ごすために必要なのは、老後とどう向き合い、どう闘って、どう受け入れていけば、いいのか、であって、約2,000万円不足の話では、ないでしょう? 貯蓄の金融資産の運用をすれば、人生100年を乗り切れるとする報告書は、いかがなのものでしょうか?


   相続・遺言での相談の中で、70代後半の方から「認知症が心配なのですが、認知症が進行すると、遺言はできないのでしょうか?認知症の進行がどの程度まででしたら、遺言はのこせるでしょうか?」の相談は少なくありません。ある資料では、90歳になると、認知症は6割、95歳になると、8割の方が認知症になる可能性があると出ています。認知症は予防ができるとする考え方もありますが、現実には、医療現場では難しいようです。

   人生100年時代と言わる長い老後において、貯蓄や資産運用で2,000万円を確保すること以上に必要なことは、認知症等にならずに、健康寿命をいかに延ばすことでは、ないでしょうか?

 

 厚生労働省の簡易生命表(平成29年)によると、男の平均寿命は81.09歳、女の平均寿命は87.26歳で、前年に引き続き、上回ってます。また、90歳まで生存する割合は、男が25.8%、女が50.2%となっており、人生100年とはいかないまででも、成人病等の病気にならなければ、多くの方が90歳半ばまでの人生設計を考えなければなりません。



   しかし、現実には、健康寿命とした場合、85歳を過ぎると、脳の老化に伴う認知症を止めることが難しい状況であり、三大成人病がある程度克服されても、多くの方が晩年の10~15年以上を認知症とともに生きる方も少なくない状況があります。認知症を克服して生きるためには、脳の老化の進行(脳の寿命)を長く持たせることが必要となります。

   今、官邸主導で「人生100年時代構想」の議論、また、長寿社会によって年金財政の圧迫を避けるために、高齢者の雇用延長の促進や年金支給を遅らせる政策が進められています。 しかし、それよりも重要なことは、高齢となっても、働き続けることが、脳の老化の進行を押さえ、健康寿命の維持に役立つことであること、70歳台、80歳台になっても、脳の寿命を健康に保つには、積極的に働き、活動することが脳の老化の進行を遅らせることができる対応策の一つであることを国民に正確に伝え、実践する方策を構築することではないでしょうか。

   しかしながら、現実には、70歳過ぎての雇用は難しい状況であります。だからこそ、雇用されるのではなく、それまでのキャリア等を生かし、誰かに役に立つ、誰かに必要とされる仕事(事業・活動)を行って、社会と関わりを持ち続けることが、脳の機能の維持につながります。


   また、人生100年時代を迎えれば、資産格差社会とともに、健康格差社会が際立ってくる状況が心配されてます。2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になります。このことは、全国民の40%が高齢者であり、このうち80歳以上の高齢者をみると、認知症を患っている方がいる一方、生涯現役で普通に仕事をしている方もいる、高齢になるほど、身体や脳の能力を維持できる方とそうでない方に大きな差が生じます。

   大きな差を生じさせないためには、脳も身体同様に、日々使わなければ、間違いなく機能低下が進みます。これから迎える人生100年時代には、脳も身体も、常に使うことを心掛けて、生活することが大切となります。脳を使い続けることは、「何かしようとする意欲」を持ち続けることと言われてます。これから、脳の健康維持も、身体の健康維持と同じく、意識して生活してみませんか。


徒然のひとこと

 人生100年時代を脳・身体ともに健康に過ごすには、老後においては、会社に依存する考えは完全に切り捨てて、自分が本当にしたい仕事(事業)(活動)を持つことが大切になります。

   その準備は、60歳過ぎてからでは間に合いません。40~50歳代前半までに、60歳以降の30~40年間をどう生きるのか、周到な計画・準備が必要です。多くの方のシニアライフワークについて、サポートしておりますので、お気軽に、ご相談ください。