自分でできる会社設立とは?


自分でできる会社設立!!

   令和の年号になって、今日で2ヶ月が経ちました。この間、当事務所では、3件の法人設立をご支援させて頂きました。いずれも、既に個人事業主として、5年近く事業を展開して、ある程度軌道に乗った状況で、株式会社の設立・運営のご相談でした。多くの方は起業する際に、個人事業主でスタートしても、いずれ、株式会社の設立を目指しており、そのタイミングが必ず訪れます。

   会社設立は、何をどうしたらいいのか、わからないため、専門職に依頼されるケースが多いところですが、会社設立は、手続きの手順と必要な書類の作成方法がわかれば、容易にご自分でも短期間で設立が可能です。自力で株式会社設立する場合は、もちろん、専門職等に依頼する場合でも、一通り手続きを知っておくことで、スムーズに進められます。


   会社設立にあたって、会社を設立するか、このまま個人事業として続けるか、の判断に悩むご相談が多くあります。当事務所では、このご相談について、会社(株式会社)設立のメリットなど、様々の角度から、わかりやすく、ていねいに、ご説明させて頂いております。
 会社設立には、①社会的信用が高い、②金融機関から融資が受けやすい、③税率(法人税)がほぼ一定、④役員報酬(家族への給与含む)の支給可能、⑤節税対策が豊富など、多くのメリットがあります。

   会社設立の動機としては、「事業規模の拡大(融資の拡大)のための法人化」や「許認可申請等のための法人化」や「社会保険への加入」などが直接の決めてとなるご相談が多くあります。

   一方、ご相談の中でのデメリットが話題に上がりますが、①設立費用がかかる、②会計や税務・労務等の手続きの負担が大きい、③赤字でも税負担の必要、などについてご心配されるケースが多く見られます。①の設立費用は、自分ですれば最低限の費用(定款認証+登録免許税の合計21万円程度)で可能です。②の会計は、会計ソフト等で可能なところまでは自分で、税務申告等は専門職に依頼で最小限の費用に抑える、③の税負担は、赤字でも年7万円の法人住民税(均等割)(東京都の場合)が必要となりますが、株式会社のメリットの大きさと比べれば、僅かな必要最小限の費用負担で済みます。



 ここでは、自分でできる会社設立の手順と書類の作成方法、設立直後の必要な諸手続きについて、そのフローは、次のとおりです。

(1) 会社(株式会社)のイメージの決定➡(2)基本必要事項の決定➡(3)資本金の決定➡(4)役員の決定➡(5)定款の作成➡(6)定款の認証➡(7)資本金の払込み➡(8)登記申請➡登記完了➡(9)税務等の諸手続き


  まず、(1)では、会社設立には、大まかな見込み売上高・収益計画などを盛り込んだ事業計画書を作り、会社のイメージをまとめます。

  次に、(2)では、(1)に基づき、定款作成のため、会社設立の基本必要事項(会社名・事業目的・本店所在地など)を決めていきます。

  次に、(3)では、資本金を決定(出資者・出資割合・出資形態など)します。株式会社の設立には、「発起設立」がおすすめです。発起設立は、1名もしくは少数の発起人のみでが出資する株式を引き受ける(自分で買う)ため、迅速な手続きが可能となります。※ 小さな会社の場合、会社を設立する人と事業を行う人は、同じことが多く、発起人=取締役とするケースが一般的です。


(発起人以外の出資者を募集する「募集設立」もありますが、手続きに時間を要しかつ複雑ですので、多くの場合には、発起設立が選択されています。)(この場合、発起人が「株主」となります。)


  次に、(4)では、役員(取締役など)の決定では、1名以上としますが、3名以上の場合は、取締役会の設置(任意)可能(取締役会を設置すれば監査役の選任必須)となります。個人事業からの法人成りは、3名以上の取締役を置くことは少なく、取締役会を設置することケースは多くはありません。会社設立後に規模が拡大した段階で、定款の変更により設置が可能となりますので、その段階での検討でされる会社が一般的です。



   次に、(5)では、会社の基本ルールを定めた「定款」の作成が義務付けされてます(発起人が作成)。ご相談では、定款作成がハードルとなるケースが少なくありませんが、会社法の基本だけ押さえれば、記載見本例(法務省HP)を参照して、簡単に作成可能です。 

   定款の作成の基本は、絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)【商号、本店所在地、会社の事業目的、出資される財産の価額、発行可能株式総数、発起人の氏名・住所】と相対的記載事項(定款に記載すればその事項は有効となる事項)【株式の譲渡制限、現物出資、機関設計(取締役会・監査役・会計参与などの設置)、株主総会の権限、取締役の任期など】と任意的記載事項(記載するかどうかは自由、定款外で定めてもよい)【事業年度、定時株主総会の開催時期、取締役・監査役の資格・人数、公示の方法など】について、定款に記載する内容を決めておくことが必要です。

 なお、以下の具体的な作成ポイントは、お気軽にお問合せください。
 ①商号、②事業目的、③役員数と機関、④発行可能株式総数、⑤1株当たりの金額、⑥資本金の額、⑦事業年度、⑧役員の任期


   次に、(6)では、定款の認証です。紙での定款認証も可能ですが、現在では、電子媒体(PDFファイルによる電子定款)が一般的です。
電子定款は、オンラインで行われるため、印紙代(4万円)不要で、迅速な手続きが可能ですので、電子申請の設備・ソフトを持っている専門職への依頼がオススメです。(当事務所でサポート可能です。) 

  定款認証は、本店所在地を管轄する法務局所属の公証役場で、定款が正しく作成されているることを公証人が確認し、公的に証明することです。認証を受けないと、法務局での会社の設立登記はできませんので、必須となります、公証役場には、代理人に委任しなくても、発起人自らが出向き、手続きが可能です。(発起人が2人以上いれば、公証役場に行かない発起人は、委任状と印鑑証明書が必要)
 費用は、定款認証料(5万円)と謄本交付手数料(3千円以内)となります。


  定款認証を受ければ、次に、(7)の資本金の払い込みです。資本金の払い込みは、「出資金の払込証明書」(通帳の表紙+表紙裏+払込明細のページ:出資者の氏名・金額の記載)を作成します。出資金の払い込みを行った日から2週間以内に、会社の設立登記申請を行うこととなります。



   次に、(8)では、管轄法務局への設立登記申請となります。法務省HPの「商業・法人登記の申請手続き」を参照して作成しましょう。
定款の記載事項の内容によりますが、登記申請には、①株式会社登記申請書、②登録免許税納付用台紙、③定款、④出資金の払い込み証明書、⑤設立時取締役の就任承諾書、⑥発起人決定書(本店所在地)、⑦別紙(登記すべき事項)(CD-R)、⑧印鑑証明書、⑨印鑑届出書が必要となります。(電子申請も可能ですが、ご自分での申請は、法務局窓口での申請手続きの方がストレスなく、オススメです。)

   費用は、登録免許税が資本金の額✕7/1,000で、最低15万円となります。(なお、軽減措置として、市区町村が実施する特定創業支援事業(創業ゼミナール等)の受講証明書を受ければ、7.5万円の減額が適用され、登録免許税は7.5万円となります。)

   申請書類に不備がなければ、1週間後に会社設立登記の完了となります。会社設立日は、申請日となりますので、ご留意願います。

 なお、会社設立登記など不安な場合や迅速に簡単に済ませたい方は、別途費用がかかりますが、司法書士等に依頼するのが、確実な良い選択ですので、併せて、ご検討ください。(当事務所では提携の司法書士にお願いしております。)



   登記が完了すると、次に、(9)の税務等の諸手続きです。まず、会社の口座を開設が必要となります。銀行内での審査が厳しい場合もあります。状況によっては、詳細な事業計画書等の作成・提出が必要なケースもありますので、事前に金融機関にご確認ください。


   税務については、所轄税務署に、①法人設立届出書(自治体にも届出が必要)、②青色申告の承諾申請書、③法人(設立時)の事業概況書、④申告期限の延長の特例の申請書、⑤棚卸資産の評価方法の届出書、⑥減価償却資産の償却方法の届出書、⑦給与支払事務所等の開設届出書、⑧源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などが、必要に応じての提出となりますので、管轄の税務署等にご確認が必要です。(いずれも法令上の提出期限がありますので、ご留意ください)

   また、社会保険(健康保険・厚生年金)加入には管轄の年金事務所に届出、労働保険の加入には管轄の労働基準監督署に届出、雇用保険の加入には管轄のハローワークに届出が必要となりますので、それぞれ関係機関にご確認ください。


  また、信頼できる税理士・行政書士・社会保険労務士・司法書士などのサポートを得れれば、いろいろな場面でのアドバイスが期待できます。会社の運営上、税務・法務・労務等の整備・点検は非常に大切ですので、信頼のできる税理士等と契約して、相談できるような環境にしておくことも大切です。


徒然のひとこと

起業して、会社設立は事業の新たな展開のターニングポイント(転機)となります!次の段階に、チャレンジされたら、いかがでしょうか?

株式会社(法人)には、多くのメリットがあります。今後の事業拡大するには、法人化が必須ですので、お早めにご決断が求められます。

あなたの事業拡大のために、株式会社設立をする際に、お問合せください。当事務所は、お役に立てるものと確信しております。