卒FIT、2019年問題って、なに?


◆これから、どうする?、どう活かす?ソーラーパネル!

  「卒FIT 2019年問題」って、聞いたことはありますか? 私たちの生活に、どのような関わりがあるのでしょうか?

  卒FIT 2019年問題とは、2009年に開始された住宅用太陽光発電の買取制度について、2019年11月以降、順次、10年間の固定価格買取制度(FIT制度)が満了し、各電力会社による買取義務が終わることです。

   つまり、これまで太陽光発電システムで発電した電気を高値で売電することを保証していた制度がなくなり、余剰電力の売り先や使い方について、導入した、それぞれの家庭が自ら「ソーラーパネル、どうする?どう活かす?」を考えて、対策をとることとなります。


 そもそも、固定価格買取制度(通称FIT(フイット)制度)とは、どんな制度でしょうか?

   2009年11月からスタートした住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度は、2012年7月1日まで実施され、現在は、再生可能エネルギーの普及を目的として2012年7月に移行した「固定価格買取制度(FIT制度)」に引き継がれています。


   このFIT制度とは、経済産業省・資源エネルギー庁が定めているもので、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で、一定の期間、電力会社に買取を義務付ける(国が約束する)制度です。

   一定期間とは、2009年(H21)11月より、10KW未満の住宅用太陽光発電の買取期間は「10年」と定め、2009年に開始した住宅用太陽光発電は、10年間、電力単価48円/KWH(2009~2010)での売買が継続してきました。その後、買取単価は毎年見直されており、2019年には単価24円/KWH(出力抑制なし)に下がってます。

※2018年5月の卸売電力取引所(JEPX)の日中の電力単価は9円/kWh程度で売買されていますので、いかにFIT制度が高い金額での売電を保証していたかが分かります。


資源エネルギー庁 ホームページより
資源エネルギー庁 ホームページより

   2019年問題、卒FIT案件は、2019年に全国で56万件発生し、その後、毎年約20万件ほど増えていく見込みです。すでに、国は新たなFIT制度は設けず、買取市場に任せる方針を出しています。買取期間が満了した電源については、法律に基づく電力会社の買取義務はなくなりますが、(1)自家消費 または (2)相対・自由契約で余剰電力を売電することが可能です。

   現実的には、満了した以降の選択肢として、(1)電力会社等と大幅に安い価格で売買契約を結ぶ、(2)従来通り昼間の自家消費のみを使用し余剰分は不利用、(3)蓄電池等を導入し、余剰電力を蓄えて、自家消費率を上げる、の3通りの方法がありますが、どれをとっても、いままでのように、得にはなりません。


   2009年に太陽光発電の余剰電力買取制度での買い取りがスタートした当時は、各家庭で作った電気の余剰分を48円で売り、お金をもらう、ということをしていました。つまり、電気を自分で買っている値段よりも高く取引ができていたので、電気を売ったほうが得だったのです。 しかし、今回問題になっている「2019年満了」以降の買い取り価格は7円程度(※)になると言われています。自分たちが電気を買うときには24円がかかるのに、売るときは7円程度になるわけですので、自分たちで使ってしまった方がトクになるのです。

 ※各電力会社等は、2019年4~6月に具体的な買取メニューを発表するとしてます。



  そこで、対策の一つであります「蓄電池」の導入に関心が高まってます。

   蓄電池は電気を貯めることができ、必要な時(停電時など)に使うことができるなど導入のメリットは大きいものの、蓄電池の購入費用が高価であり、また、リチウムイオン電池は充放電を繰り返すうちに劣化が進むなど、保守管理も必要となります。


徒然のひとこと

 今年FIT満了となる方は、自ら発電事業者として、再生可能エネルギーの推進を継続される方が多数ではないでしょうか。設置している太陽光パネルは、20~30年間、または、それ以上発電し続けることが可能といわれており、特に、住宅用パネルは再生可能エネルギーとしての設備として維持されて稼働し続けることが期待されてます。蓄電池の性能面・価格面・保守管理面等について、慎重に検討され、導入も一方法ではないでしょうか。