⬛売掛金などの債権の時効期間【消滅時効期間の統一】が変わります!
【改正内容】
◆(1) 消滅時効期間が、5年、または、10年に統一されます!
★債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(主観基準)
★権利を行使できる時から10年(客観基準)
◆(2) 協議による時効完成猶予制度の創設
★書面による合意で、時効の完成を1年以内の期間(再合意も可:最長5年)で遅らすことができます。
ただし、時効の完成を阻止するために、内容証明により催告して、6ヶ月間時効の完成を伸ばした場合には、協議による完成猶予は利用できなくなります。
◆(3) 人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効
★権利を行使することができることを知った時から5年
★権利を行使できる時から20年
権利を行使しないで一定期間経過すると、権利が消滅してしまう効力のことをいいます。
現行法では、債権の種類や職種ごとに時効期間を定めています。具体的には、私人の間の債権は10年、ビジネス上の債権は5年、職種別には、建設等請負代金は3年、小売等の商品販売代金は2年、宿泊代・飲食代等は1年など、種類が多く分かりづらくなってます。
改正民法では、通常のビジネス上の債権は、原則5年に統一されます。
★施行日(2020年4月1日)以後に生じた債権は、改正後の新ルールの時効期間が適用されます。
★改正前に発生した債権、また、施行前の原因に基づいて生じた債権については、改正前の民法の時効が適用されます。
★該当条文【改正166条、現在法170条~現在法174条削除】(原文)
(債権等の消滅時効)
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
★該当条文【改正167条】(原文)
(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。
★該当条文【改正151条第1項】(原文)
(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して、協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過したと時
★該当条文【改正151条第2項】(原文)
前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることはできない。
【徒然やまとコラム】
★実務の場面では、消滅時効が原則5年となりましたので、請求にかかる関係資料は、5年間の保存が必要となります。
★現行法では、時効完成が近づくと、提訴による「時効の中断」の手段しかありませんが、改正民法では、協議による「時効の完成猶予制度」が創設されたことから、訴訟を回避することができます。
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