採択を得るための補助金申請とは


1 令和3年度( 2021年)の補助金について

 

2020年12月15日に閣議決定された令和2年度第3次補正予算案に、ものづくり補助金・小規模持続化補助金、IT導入補助金の「新特別枠」が計上されました。

 

この「新特別枠」は、令和元年度補正予算により3年間継続して公募されている「通常枠」とは別枠の予算により、「低感染リスク型ビジネス枠」として、通常枠と並行して実施される予定です。

 

上記の「中小企業生産性革命推進事業の特別枠」の補助金について、別紙、「令和2年度第3次補正予算案(経済産業関連)の概要」をご参照ください。

 

令和2年度第3次補正が決定する2月上旬までは公募要領等が公表されませんので、予定での内容ですが、「新特別枠」と「一般枠」が同時に並行して公募されますので、昨年の「コロナ特別対応型」と「一般型」と同様な形での公募が予想されます。

 

今のところ、小規模持続化補助金の第5回<一般型>は令和3年5月の公募開始が予定されていますので、同じ時期に、ものづくり補助金、小規模補助金、IT導入補助金の「特別枠」の公募が開始されると見込んでおります。

 

以上が2021年の補助金を取り巻く状況ですので、第3次補正が決定される2021年2月下旬から、申請準備に入ることが望まれます。

 

◆採択を得るためには、次の事項について、留意することが必要です。 

 


2 補助金の採択と審査項目について

 

 各補助金の申請にあたって、各公募要項に沿って、申請書類を提出しても、要件審査において、採択されないと補助金の交付は受け取れません。

 

当社においては、小規模事業者持続化補助金の令和元年度補正<一般型>及び令和2年度補正<コロナ特別対応型>の補助金申請支援において、昨年は10数件のご依頼を頂き、結果として、すべての申請案件について、採択を得られました

 

しかし、経営計画書・補助事業計画書の作成に当たっては、採択を得るためには、審査レベルの難易度は、「相当高い」と実感しており、申請者の事業内容に戦略的な具体性がない場合には、補助金申請の専門家(行政書士・中小企業診断士等)に依頼しても、苦戦することが少なくありません。

 

小規模事業者持続化補助金<一般型>の募集要項の審査項目は、次のとおりです。

 

【 基礎審査】

 (1) 必要な提出資料がすべて提出されていること

 (2) 補助対象者及び補助対象事業の要件に合致のこと

 (3) 補助事業を遂行に必要な能力を有すること

 (4) 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること

 

【加点審査】

 ★経営計画書等について、以下の項目に基づき、加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行ことになっています。

 

(1)自社の経営状分析の妥当性

 

◆自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか

 

 

(2)経営方針・目標と今後のプランの適切性

 

◆経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか

◆経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか

 

(3)補助事業計画の有効性

 

◆補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか

◆地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか

 

◆補助事業計画に、小規模事業者としての創意工夫の特徴があるか

◆補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか

 

(4)積算の透明・適切性

 

◆事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか 

 



 3 採択されるため、求められることは?

 

公募要領に記載されている「加点審査における項目」は、いずれも抽象的な表現であるため、「何をどう書けばいいのか、わからない」といったご相談が少なくありません。単に、記入例に沿っての記述、前例にならっての記述では、審査で不採択の結果となります。

 

それでは、どう作成すれば、採択されるのか」のご照会については、業種によって異なりますが、経営計画書及び補助事業計画書の作成プロセス・内容のつながりと関連性が特に重要となります。

 

採択を勝ち取るための作成上の重要ポイントは、次のとおりです。

 

【経営計画書】

★企業概要

・沿革:開業以降の大きな出来事

    (事業開始、資格・許認可の取得、事業所移転、法人化、表彰歴等)

・事業内容:主な商品・サービス、店舗情報、顧客層、取引先、競合先等の概要

・業況:直近3~5年の売上・利益の推移・傾向のグラフ化、写真等は必須

 

 →自社の経営状況・財務分析の妥当性を審査 

 

★顧客ニーズ

・課題の掘起し:顧客の意見や要望などからニーズの把握

 

→顧客からの聞き取りや業界ニュースなど、客観的な資料に基づき記述が必要

 

 

★市場の動向

・自社を取り巻く「めぐる事情」や自社の商圏の動向(全国の市場動向ではない)

 

→商圏内の競合他社の状況や直近の業界のトレンドと課題

 

★自社や自社が提供する商品・サービスの強み

・自社(経営者)の強み

  (例) 自社の大きな実績・競合店にはない特徴・顧客から評価されていること等

    本補助事業に結びつく実績・魅力など

 

→実績・魅力・特徴などの裏付け資料(写真・表彰・記事など)

→自社の製品・サービスや自社(経営者)の強みを把握しているか

 

★経営方針・目標と今後のプラン

・自社の強みをについて、今後、どのように伸ばしていくのかの方針を示す

・掘り起した顧客ニーズと市場動向を今後どう捉えて、経営方針・目標を定め、「今後のプラン」につなげていくのか

 

→最重要ポイント:目標とプランは、申請事業者の市場(商圏)動向を踏まえた、戦略的プランとなっているか

 

→3~5年先の事業収支計画書(目標顧客数・目標売上高・目標利益率等は必須)

   (データはグラフ化:複合グラフ等(ビジュアルの図式化)

 

【補助事業計画書】

★作成にあたって

・経営計画書の内容を反映した「補助事業計画書」であるか

・「補助事業計画書」は、現在から将来に向かっての計画となる

 

★補助事業で行う事業名

・「地道な販路開拓等の取組であること」に合致させること

 

★販路開拓等の取組内容

・「自社の強みを活かした事業」であるとともに、「市場のニーズを捉えた事業」であることを強調する

・取組の手順と経費の項目・内容・使途及び補助事業スケジュール

 

→事業の概要は、背景・経緯・狙い・効果等を説明

  課題解決につながる事業であり、経営目標・今後のプランと合致した事業であることを説明(事業の裏付け添付)

 

→以上の事業内容をポンチ図で分かりやすく示すこと

 

★補助事業の効果

・事業の優位性:「他社にない事業の優位性」を数値で示す

・事業の効果:直接的効果と間接的効果に分けて数値で示す

 

→新規顧客の拡大→売上額増加→利益拡大

→自社の評価拡大→商店街への効果→顧客へのサービス拡大

 



 【まとめ】

 

以上のとおり、補助金の採択・不採択の境界線は、次の事項を満たしているか否かとなります。

 

経営計画書(事業計画書)の作成にあたっては、審査員に「理解しやすいストーリーで、何を、どう、伝える」の工夫とテクニックの戦略が必要

 

◆理解しやすいツールとして、文面のわかりやすいストーリー化、各種の複合グラフ、各ポンチ図、写真は必須

 

◆事業効果を示すには、事業収支計画書などをビジュアルに示す工夫が必要

 

なお、具体的な作成手法等につきましては、事業ごとに異なりますので、ご相談・お問合せください。