住宅の賢い買い方とは?



皆さんは、住宅の購入にあたって、「新築住宅」、「中古住宅+リノベーション」、どちらにするか、検討されたことは、ないでしょうか?

 

もちろん、予算が十分にあって、「新築がいい」に決まってると、「中古住宅+リノベーション」の選択が初めから入っていない方も少なくありません。

 

今回は、これらを比較しつつ、住宅の賢い買い方について、解説します。

 

当事務所は、グループ会社の不動産部門において、新築・中古物件の購入・検討のご支援を行っておりますので、実際の購入事例をご紹介します。

 

「中古住宅+リノベーション」は、中古住宅を購入し、オリジナルにリノベーションして、新築より「安い予算」で住宅を取得する住宅購入の方法です。メリットは、3つあります。

 

1 中古住宅のメリットは、なに?

 

(1) 一つ目のメリット:住宅購入資金の削減

 

新築一戸建では、大手ハウスメーカー(ローコスト住宅除く)に発注すれば、本体建物は、坪単価70万円~80万円以上、床面積100㎡(30坪)の場合、建物購入金額(本体工事のみ)は2,100万円~2,400万円以上になります。

 

そこに、土地の購入費用(都内であれば、最低でも坪単価110万円超)3,300万円以上を加えますと、土地・建物の合計で、5,400万円以上、実勢価格は、立地条件等によりますが、6,500万円~8,500万円となります。 (都心一等地は1億円~3億円)

 

小規模な地方都市であっても、建物の購入金額(2,400万円以上)はほぼ同じで、土地購入費用:60坪(坪単価20万円)を加えると、3,600万円以上(大手ハウスメーカー建築)となります。(ローコスト住宅は除きます)

 

これが築25年の中古住宅の場合、どうなるでしょうか?

  

一戸建ての資産価値は、建物と土地を合わせた価格で決められます。

 

建物価格は、新築の時から、年月の経過とともに、価値は下がっていきます。

 

土地は、土地としての価値はほぼ変わりませんが、景気変動や周辺の土地開発・人口流動等から土地の価格は変動はしますが、大都市を除けば、単年での大きな変動は少ない状況です。

 

一般的に、不動産業界では、築年数22年を過ぎた一戸建ての木造住宅は、建物の価値が0円として考えられます。

 

これは、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数で、木造住宅の耐用年数が22年と定められているからです。

 

一戸建てはマンションと比較すると耐用年数が短く、資産価値は築22年でほぼゼロとなります。

 

しかし、不動産市場流通では、木造住宅の場合、「耐用年数22年」は、経年劣化する住宅の資産価値を正しく判断するために定めた「法定耐用年数」であるため、実際の不動産鑑定においては、建物の寿命である「経済的全耐用年数」に基づいて、鑑定されます。

 

【参考】国税庁が定める減価償却資産の耐用年数は、以下のとおりです。

 

◆木造住宅の耐用年数:22年

◆軽量鉄骨の耐用年数:27年

◆鉄筋コンクリートの耐用年数:47年

 

今回、支援しました中古物件では、不動産評価における「一戸建の仕様と現価率」は、下記のとおりです。(不動産鑑定上の価格です)

 

 【不動産鑑定上の価格】

 

(建築時期等)建築年月日:平成9年8月7日、経過年数:25年、経済的全耐用年数:32年、経済的残存耐用年数:7年

(仕様)構造:軽量鉄骨造、屋根:瓦葺、外壁:サイディング(建築:積水ハウス)

 

(土地)273.09㎡

(用途指定)第1種低層住居専用地域 建ぺい率 40% 容積率 60%

 

(床面積)146.94㎡

(観察減価)25%

 

(残価率)3%

(現価率)0.18:{計算:(残価率+(1-残価率)×(経済的残余耐用年数÷経済的全耐用年数)}×(1-観察減価)=0.1816

 

(再調達価格)㎡当り 18万円 × (床面積)146.94㎡ × (現価率)0.18=476万円

 

裁判所での競売では、この価格が「建物の評価額」の基礎となります。

 

【中古の購入金額】

 

競売でない一般流通売買では、競売の評価額の約2倍近い1,000万円が建物販売価格(土地は別)として設定されます。

 

これに、クロス貼等のリフォーム費(200万円~300万円)を加えれば、建物販売価格は1,200万円~1,300万円となります。

 

これに土地価格(本事例は273㎡(82坪))の1,000万円を加算して、2,200万円~2,300万円(以下、「2,200万円」とします。)が本物件の中古建物(土地含む)の販売価格となります。

 

【新築の購入金額】

 

この物件について、平成9年当時に、新築で購入すると、販売価格はどうだったでしょうか?

 

外構工事等を除いて、平成9年当時の標準的な建築費 ㎡当り16.05万円(約53万円/坪当り)(国土交通省の基準値)を床面積(147㎡)に乗ずると建物取得費は2,360万円(土地は別)となります。

 

一方、土地取得費は、建築時の基準値価額(3.4万円)(当該地の都道府県基準地価)に地積 273㎡を乗すると928万円となり、土地・建物の合計取得費は3,288万円となります。

 

【新築と中古の購入金額の比較】

 

新築と中古の購入価格の差(3,288万円と2,200万円)は、1,088万円です。

 

これに新築時で別途支出した外構工事(約322万円)を加えると、「建物本体+付帯工事=3,610万円」となり、中古の購入金額2,200万円と比較して、「1,410万円」の減額となります。

 

結果として、中古物件では、新築時の購入費の60%の金額で購入できたことになります。

 

リノベーション・リフォーム工事を適切に施せば、内装工事、システムキッチン・バスユニット等の機器設備が更新されますので、3,610万円の物件(新築時の外構工事含む)が、1,410万円減の2,200万円で手に入ることは、とても魅力であり、検討する価値があります。

 

予算に余裕があれば、新築物件は良い選択ですが、住宅購入に係る予算全般から、中古物件の検討も、いかがでしょうか。 

 

特に、新築一本でご検討の方には、留意を頂きたいことは、新築で、無理な住宅ローンを組まないことが一番です。家を購入することで、子育てや日々の生活、安らぎ、将来の安心などを犠牲にしないことが肝要です。 

 


(国土交通省:中古住宅流通、リフォーム市場の現状)
(国土交通省:中古住宅流通、リフォーム市場の現状)

(国土交通省:中古住宅流通、リフォーム市場の現状)
(国土交通省:中古住宅流通、リフォーム市場の現状)

(2) 二つ目のメリット:自分で内装・設備・インテリアが選べて満足度が高い

 

新築の建売などは、建物の外装・内装・設備・インテリアも「売る側」が選んでいます。

 

しかし、 「中古+リノベーション」では、「買う側」が購入した後、自由に設備機器やインテリア(色/仕様)を選べ、中古の家ではなく、リノベーションによって、オリジナルデザインの「独創的な家」が完成します。

 

例えば、内装のクロスは天井・壁ともに白色が多いですが、アクセントカラーを加えるなど、部屋ごとに用途に応じたインテリアの実現が可能となります。

 

外壁塗装では、当時はなかった遮熱塗料や黒系の塗料など、用途に合った外壁塗装などが施工でき、満足度が高まります。

 




(3) 三つ目のメリット:資産的に新築より有利になる(価値が下がりにくい物件が手に入る)

 

新築の建売などは、立地条件が特に良い物件を除けば、上記の図「中古戸建住宅の査定価格の例」のとおり、中古になった瞬間から価格が下がりはじめます。

 

理由は、新築時における「不動産業者の利益分」と「建物価格の価値が下がり続ける」ことが主な要因です。

 

図「中古戸建住宅の価格査定の例」を見れば、建物価値が下がり続けるのは築22年まで、その後は、建物価値はほとんど変わらない推移となっいます。

 

 「資産価値が下がらないタイミングで安く購入」することよって、住宅を賢く買うことが、資産形成につながります。

 

新築物件・中古物件を多く見て、検討された方は、お気付きのことですが、新築で4,000万円(バスで10分の立地、床面積100㎡)、中古(築25年)で2,500万円(駅徒歩5分の立地、床面積140㎡)があれば、どちらを選びますか?

 

一戸建て新築物件は、築10年で外壁塗装、築20年でシステムキッチン・バスユニットなどの設備機器の交換更新が必要となります。

 

その時点で、同じリフォーム費用をかけるなら、駅5分以内の立地で、床面積が広い物件の方が資産としては価値がある家となります。

 

また、固定資産税の負担についても、建物の耐用年数22年を過ぎれば、税の負担感も小さくなります。

 




それでは、中古物件のデミリットは、何があるでしょうか?

 

上図の「中古住宅によるメリットとデミリット」にあります「リフォームに費用がかかる」「住宅設備が古い」などがデメリットとしてあがっております。このデミリットは、物件の見極めにおいて、対応が可能ですので、ご説明します。

 

 

2 中古住宅のデメリットは、なに?

  

デミリット:中古住宅は建築等の現場施工知識がないと、物件の劣化状況の見分けが難しい

 

中古住宅は、建築確認済証や、設計図面・仕様書等の資料がないことが多く、現地において、建物構造等を見極める現場知識がないと、外見や外観だけでは、建物の劣化等が把握できず、購入後のリノベーションの予算が立てにくいことが挙げられます。

 

また、不動産会社の仲介では、建築・構造・地盤等の現場知識が希薄な担当が少なくなく、質問等しても適切な回答は期待できず、調べるにも基礎的な知識に限界があります。

 

購入の是非の判断において、対応策としては、建築の現場経験・リフォーム工事経験があり、かつ、中古物件の査定・鑑定の知識を有した者の同行を得て、その助言に基づいて、「購入の判断」をすることです。 

 

リノベーションは、内部では、天井・壁のクロス張はもちろんですが、床や建具、設備機器など目で確認できるヵ所は、リフォームが必要かを見極めるとともに、確認が難しい高所や配管設備・電気系統なども確認・チェックが必要です。

 

また、外壁・ベランダ・屋根、加えて、外部軒天・外部建具・シャッターの取合部などは、20年以上の風雨等に当たってますので、施工素材そのものが10~15年で劣化する部材が少なくない状況もあり、建物の保全・維持に支障が生じる可能性があります。

 

このため、屋根・外部の取合部分から、雨水等の漏水が発生するカ所も潜在的にありますので、外部リフォーム工事には、漏水防止対策工事も視野に入れて、その対応が必須になるところです。

 

また、リノベーション・リフォーム工事をどこに依頼するかについて、失敗が多い方法(一社のみの見積で発注など)で工務店等を選ぶことがないように、特に注意したいところです。

 

建築工事の場合は、各工事ごとに材料費・施工費の単価等が明らかになってますので、見積が適正であるかは、その積算プロセスで判断できます。

 

施工数量も施工単価も、使用する部材等も、正確・適正でない見積りも多々ありますので、1社の見積で発注するのではなく、少なくても3社以上から「相見積」を取って、提出された見積額が妥当か否かについて、慎重な判断が求められます。

 

難しい購入だからこそ、しっかり知識を身につけ、しっかり確認しましょう。そのためには、建物の建築等の現場知識を有し、信頼できる「住宅購入支援」をご活用ください。

 


【徒然のひとこと】 

「中古住宅+リノベーション」は、魅力いっぱいのお買い得の住宅購入です。

 

賢く住宅の購入は、生活にゆとりと楽しさが生まれます。

 

当社グループは、中古物件を含む住宅全般について、多くのご支援・サービスの提供に努めておりますので、お気軽にご相談ください。