コロナ後、「食と農」が目指すものは、なに?


コロナ後に、「食と農」が目指すものは、なにでしょうか?

 

まず、農業の生産現場では、コロナ禍で、何が起こったでしょうか?

 

食と農を取り巻く状況は、コロナ禍により、飲食店の時短営業や国内外の旅行客の激減で、農産物等の消費の減退や、食の生産者や生産地の多大な打撃など、大きな影響がありました。

 

加えて、学校給食等の停止により、牛乳や野菜・魚介類・肉類等が行き先を失うなど、業務用の農産物等にも大打撃となりました。

 

また、農業生産の現場では、高齢化等で農業生産者が減少する中で、農業生産の主産地では、農業者の減少を補完する目的で、家族外労働者の依存を強め、その多くが外国人労働者の活用に依存し、年々、増加していました。

 

農業分野における外国人労働者は、2020年時点で38,064人(全国)(2012年の16,372人の2.3倍)、そのうち9割が外国人技能実習生でした。加えて、新たな制度である特定技能外国人も、コロナ禍による入国制限措置により、予定していた外国人労働者が来日できない事態となり、労働者不足が発生しました。

 

現在でも、世界的には、コロナ感染状況が深刻な国も多く存在しており、外国人が入国できない状況がこれからも続く可能性があることから、外国人労働者の予定の人員は期待できず、コロナ禍は、農業の担い手を国内で育てることについて、喫緊の課題であることが改めて浮き彫りになったところです。

 

次に、消費者側の「食」に対する意識や、「食」を守る行動については、コロナ禍で、何が起こったでしょうか?

 

 多くの消費者は、世界をみれば、コロナ感染拡大が続いている国々もあり、今後、日本においても、再度、コロナ感染拡大による緊急事態宣言がいつ出るかと不安の中、「私たちの食を守るために、家庭で何ができるか」を考える方々が増えてきています。

 

私たちは、このコロナ禍で、生きる糧である「食べ物」について、「どのように植え付けられ、どのような気象・環境条件のもと、成長し、実り、収穫する」かを知ることが、豊かな食生活を送るうえで、とても大切なことを改めて考えさせられたのではないでしょうか。

 

日々の食料品の買い物で、例えば、「このレタスは、どこで、どんな畑で、どんな気象で、誰が収穫し、どうやって、この売り場に届いている」と、少し意識するだけでも、食と農が近い存在となります。 

 

農業生産地を離れて、都会の中で、日々、仕事・育児・家事などに追われていると、「食と農」の距離が広がって、遠い存在になっている方も少なくありません。

 

私たちが生きていくためには、「食がなければ、農は成り立たない」・「農がなければ、食は成り立たない」ことは、どなたも理解しているところです。

 

「食」と「農」は、相互に依存しており、私たちの毎日の「食」では、「農」は離れた存在ではなく、同じ存在の位置付けです。

 

 

コロナ禍を転機に、これから未来の「食と農」について、私たちに明日からでも始められることに、注目してみませんか? 

 

生産者の側から、私の「農」で取り組んでいることを紹介します。農園名は、自営の「やまと農園」での取組です。

 

2012年(平成23年)から、家庭で食べる食材について、栽培面積は僅か6a(約600㎡)の畑ですが、季節ごとに栽培しています。

 

栽培技術は、農業大学校等で正式に学んだことはありませんが、ネットや書籍等を参考にしつつ、ほぼ独学で、露地で栽培可能な野菜を栽培してきました。農業機械は、中古のトラクターと管理機のみで、他はすべて人力での農作業です。

 

取組1~2年目は、土づくりや、気象被害への対応、病害虫などの防除等の知識・経験不足で、十分な収穫にならなかった作物・時期もありましたが、収穫できた喜びは、感動で、格別でした。

 

これまでに栽培した作物は、大豆・かんしょ・たまねぎ・じゃがいも・さといも・ねぎ・ほうれんそう・レタス・キャベツ・白菜・にんじん・かぼちゃ・ピーマン・ブロッコリー・そらまめ・だいこん・ きゅうり・なす・トマトなど、多品目を栽培してきました。

 

これらの野菜は、春野菜・夏秋野菜・秋冬野菜などの季節別に、は種(定植)・収穫し、家事消費分以外は、出荷しています。

 

野菜の栽培においては、連作障害に配慮しつつ、土づくりを重点に、1年間の栽培計画を立てて、ローテーションを組んで各作物を選択していきます。

 

私は、現在、東京で仕事をしつつ、遠く離れた生産地のほ場において、10年も根気よく継続できたのは、家族の協力があったからです。

 

2か月に1回(滞在は4~5日)は、東京での仕事がどんなに忙しくても、「土にふれる」・「作物の生育を見守る」・「食料を自ら生産する」、この取組が、とても大切な時間であるとともに、自分の手で食料を生産する感動・喜びが大きな理由です。 

 

私が農業生産への取組の動機は、2011年の東日本大震災の時、前職で岩手県内の被害対策本部(陸前高田市)に派遣されたとき、まさに、食料生産のほ場が津波で一瞬で壊滅する現場に直面し、大きな衝撃を受けたことは、一生忘れることのできない出来事でした。

  

この出来事を契機に、「自分で食べる食材は、自分で作ろう」と堅い決意で、望んで、来年で10年となります。 

 



私が自らの「食と農」を継続的に取組む「もう一つの理由」に、未来のいつかの時期に、食料が店頭から消える「不測の事態」に備える行動からです。

 

多品目の作物を栽培するのは、突然に外国からの食料輸入のストップ、また、予期しない広範囲の気象被害や大災害などで、作物が壊滅する状況が、いつか突然にきて、食料が店頭から消え、手に入らなくなることは、現実に起こり得ます。

 

コロナ禍により、穀物(輸入小麦や大豆・砂糖・植物油)などの資源価格が急騰した状況は、下記のブログでお伝えしたところです。

 

現実に、パンや肉類など、この資源価格の高騰によるコスト高を吸収できずに、8月以降、相次いで、店頭価格が上昇したところです。

 

ブログ:穀物価格 高騰!どうなる!私たちの食卓は?

 

こうした事態に直面した場合について、コロナ禍によって、「食と農」について、真剣に考える都市住民の方が少なくない状況です。

 

当事務所は、農業支援として、新規就農のご相談と就農先のご紹介などのサポートをさせて頂いておりますが、令和2年秋ごろから相談される方が増えております。

 

令和3年5月には、コロナ禍により東京での生活から決別し、静岡県に移住して、メロン栽培に新規就農された方もおられます。

 

このように、「食と農」について、自ら「農」に取組む行動は、まさに、「食」の大切さが根底にある取組のひとつと言えます。

 

東日本大震災の10年後に突然に世界を襲ったコロナ(COVID-19のパンデミック(世界的流行))は、私たちの「食」と「農」の現場も一変させました。

 

世界的にみれば、流通の制限、国境封鎖、ロックダウン(都市封鎖)などにより、グローバル・フードシステムの脆弱性が露呈した国もあります。

 

食料の流通が制限されれば、食料輸入国には食料が届かない、食料輸出国は輸出したくてもできない状況となります。同時に、食料の輸出規制も起こりました。

 

穀物価格急騰!どうなる!私たちの食卓」にも記述してますが、米・小麦・大豆などの輸出制限する国が2020年5月時点で最大で19か国もありました。

 

こうした状況に加え、世界最大の人口を抱える中国の食料輸入や食料資源輸入のさらなる増加、主産地の地球温暖化がもたらす天候不順による生産量の減退などが重なって、食料価格・穀物価格が高騰し、深刻な食糧不安を招くなど、世界的には、「食料のパンデミック」との状況が現在も続いているとの見方もあります。

 

国連世界食糧計画(国連WFP)によれば、2020年10月時点で、十分に食べれない人が9億人(世界人口の11%)となっており、コロナ以前と比較して、1億人以上の増加となっています。

 

これは現実に起こっていることです。私たちの未来の「食」は、確保されていることが保証されているものではなく、いつ、途絶えるかわならない不安定な生産状況であることは、知っておかなければなりません。

 

こうした未来について、今、私たちにできることは、「食と農」について、なにができるでしょうか?

 



農地が確保できる方は、自ら「農」で食料を生産する取組もあるでしょう。

 

もちろん、取組にあたっては、農業経営として、5年後までに安定的な収益が確保できる取組が大前提となります。

 

また、未来の「食と農」の取組については、農地がなく自分で生産しなくても、生産者との一体となった取組に参加することで、「食」が「農」に近い存在となり、未来の「農」を守り育てる支援が、私たちの「食」を確保する取組につながります。

 

例えば、国産食材を産地から直接購入する、旬の食材を食べる、農業環境を守る取組の支援など、できることはあります。

 

これらの取組を通して、収穫体験や生産者とコミュニケーション、相互の交流なども楽しむことができ、「食」を近い存在にできます。 

 

私たちは、「食」の様々な取組と関心を通じて、「食」の先にある「農業・環境」を守り育てることにつながります。

 

コロナ禍を転機として、私たちの未来の「食と農」について、目指す取組の一歩を踏み出しませんか。 

 

農地が確保できる方は、自ら「農」で食料を生産する取組もあるでしょう。

 

もちろん、取組にあたっては、農業経営として、5年後までに安定的な収益が確保できる取組が大前提となります。

 

また、未来の「食と農」の取組については、農地がなく自分で生産しなくても、生産者との一体となった取組に参加することで、「食」が「農」に近い存在となり、未来の「農」を守り育てる支援が、私たちの「食」を確保する取組につながります。

 

例えば、国産食材を産地から直接購入する、旬の食材を食べる、農業環境を守る取組の支援など、できることはあります。

 

これらの取組を通して、収穫体験や生産者とコミュニケーション、相互の交流なども楽しむことができ、「食」を近い存在にできます。 

 

私たちは、「食」の様々な取組と関心を通じて、「食」の先にある「農業・環境」を守り育てることにつながります。

 

コロナ禍を転機として、私たちの未来の「食と農」について、目指す取組の一歩を踏み出しませんか。 

 


【徒然のひとこと】 


コロナ後の私たちの「食」について、考えてみては、いかがでしょうか。

 

日本では緊急事態が解除され、感染者数は減少していますが、世界的に見れば、コロナウイルスが絶滅していない状況が現実であり、変異株等の発生により、国内における感染拡大のリスクは常にあるといわれています。

 

コロナ感染による流通制限での「食料の輸入のストップ」や「今、世界各国で問題となっている地球温暖化による気象被害(干ばつ被害等)」など、食料生産に予期できない不測の事態が生じています。

 

毎日の食卓に並ぶ食材が確保できない状況も決してゼロではありませんので、今から始められることに取組むことも、考えてもいいかもしれません。

 

当事務所では、就農5年後までの「継続的な収益を確保できる農業経営コーチング」に取組んでいますので、お気軽に、ご相談ください。