テレワークは、これからどうなる?



日本社会において、コロナ禍がもたらした最大の変化は、テレワークの拡大・定着では、ないでしょうか。

 

テレワークの推進は、これまで国の施策として、限定的に取り組んでいましたが、令和2年3月からのコロナ禍と、昨年からの5G回線の普及など、ICT(情報通信技術)の急速な進化も伴って、全ての業種において、一気に進んで、コロナ前の状況には戻れないのでは、ないでしょうか?

 

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」)によれば、テレワークとは、「労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」と定義されてます。

 

同ガイドラインでは、「テレワークは、オフィスでの勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することが可能であり、通勤時間の短縮及びこれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境での業務の実施による業務効率化につながる。」

 

加えて、「それに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となるなど、労働者にとって、仕事と生活の調和を図ることが可能となるメリットがある」と記載されてます。

 

また、「使用者側にとっても、業務効率化による生産性の向上にも資すること、育児や介護等を理由とした労働者の離職の防止や、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスコストの削減などのメリットがある」とも記載されてます。

 

そして、「テレワークは、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」「新しい生活様式」に対応した働き方であると同時に、働く時間や場所を柔軟に活用することができる働き方として、更なる導入・定着を図ることが重要」と結論付けているところです。

 

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また、国土交通省の「令和2年度テレワーク人口実態調査」(令和3年3月)によると、勤務先のテレワーク導入割合は、38.8%と前年度に比べ、大幅(約20ポイント)に上昇しています。

 

テレワークの実施場所は、在宅型が約90%と、サテライト型・モバイル型と比べて突出しています。

 

【業務効率について】

 

テレワーク実施による業務効率向上の要因は、「問い合わせ・雑用・会議等が減少し、業務に集中できた」が約35%、一方、業務効率低下要因は、「特になし」が最も多いものの、それ以外では、「口頭で確認すれば簡単に済みことでも、メール等でのやり取りが増えた」が約24%と多かったところです。

 

【テレワークの良かった点と悪かった点について】

 

テレワークを実施して良かった点は、「通勤が不要、または、通勤の負担が軽減された」の約74%が最も多く、次いで、「時間の融通が利くので、時間を有効に使えた」の約59%、「コロナウイルスに感染するリスクがある中、出勤しなくても業務が行えた」の約43%が多くなっています。

  

一方、テレワークを実施して悪かった点は、「仕事に支障が生じる(コミュニケーションのとりづらさ・業務効率低下)、勤務時間が長くなるなど、勤務状況が厳しくなった」が約47%と最も高く、「テレワークする執務環境が十分でなく不便だった」の約35%が高くなっています。

 

総じて、働き方改革に取り組む企業の従業員のうち、「最も継続してほしい施策」として、テレワーク制度を挙げた方は、58.9%と多い結果となっています。 



【テレワークの課題への取組について】

 

テレワークが本格的に普及し始めて、1年6ヵ月を超えてますが、メリットの声がある中、社内の状況がわならなくなったなど、業務に支障が生じているという声もあります。これについては、業務だけでのコミュニケーションではなく、意識的に、雑談などを含めた双方向コミュニケーションをする工夫が必要とも言われています。

 

また、コロナ禍で緊急的に措置されたテレワークから、組織全体の業務効率に基づく「平時のテレワーク」に移行して、自社の業務に適合したテレワークと、働く側にとっても出社バランスの良いテレワークを構築することが必要とも言われています。

 

一方では、労務管理上の課題として、テレワークにおける就業規則の整備とともに、人事評価制度にも適切な評価制度がないことから、今後、各職種・職域に合った適切な人事評価制度等の整備も求められています。

 

加えて、テレワーク状況下での人材育成について、新たな機器やツール・ソフトの活用に際して、一定のスキルの習得が必要であり、社内教育や自己学習のための研修機会の提供などに取組む必要がある状況です。

 

併せて、テレワークで労働者が自律的に働くことができるよう、管理職に適切なマネジメント能力の向上が求められ、テレワーク状況下の管理職マネジメント研修も必要と言われています。

 

以上の他にも、テレワークでの労働時間、作業環境整備、健康・安全衛生上の確保、労働災害の補償、セキュリティの確保など、重要な課題が多く存在しており、労働法等の関係法令の改正に早急に取組んでの「法的整備」が喫緊の課題です。

 

これらの法的な仕組みが未整備の中、テレワークが更に普及・浸透し、仕事・生活に組み込まれますが、様々な課題が取り残された状況では、現状では対応できない危険を孕んでおり、それが会社にとっても、働く労働者にとっても、将来的に大きなマイナスになりかねない状況です。

 

テレワークの推進・定着には、問題・課題について、一つひとつの点検・改善する取組が必要では、ないでしょうか。

 

【徒然のひとこと】 


テレワークの普及・定着で、東京丸の内のオフィス街の雰囲気は一変しています。

オフィス街にある外食産業などの店舗では、コロナ前の利用客の半減状況が続いています。

 

テレワークの先には、業務効率とともに、業種によっては、人員削減もあるかもしれない状況です。

 

それためにも、自分でできるゼロからビジネスプランを育てる必要があります。

 

当事務所では、起業5年後までの「伴走型の起業家育成コーチング」に取組んでいますので、お気軽に、ご相談ください。