相続した不動産、困っていませんか?


 今、亡くなった親から相続した家・土地についてのご相談が増えています。

 

 相続した家や土地は、自分が生まれ育った家に愛着があり、できることなら管理したい気持ちはあるものの、現実には、今、住んでいる自宅から遠く、毎年3~4回帰って、家の管理・除草等が大きな負担となっているため、なんとか、売却ができないでしょうか、の相談が少なくありません。

   具体的には、相続した家・宅地は、放っておけば、草木が伸び放題、建物の屋根・外壁は塗装が落ち、壁面は地面からのツタが絡み、家の傷みが進んでいる状況となっています。

 

   そのため、やむを得なく、年数回、交通費をかけて帰省し、除草・清掃等を2~3日以上かけて管理しています。庭木の剪定や除草・家の管理等を地元の業者に外注すると、1回あたり数万円以上の維持管理費が必要となるため、それもできずに、自力でなんとか今までやってきましたが、心身ともに疲労困憊で、もう限界です!とのお悩み・ご相談です。 

 

   収益不動産(賃貸)として活用も、やってはみたものの、借り手は見つからず、売却の検討については、地元の不動産業者に相談しても、空き家の平均的な販売価格が300~500万円前後であり、たとえ成約しても実入りが少ないため、(不動産売買の仲介手数料は、300万円の物件の場合、約15万円と決められています)、積極的に売ってくれないため、半ば、放置されているような状況も少なくありません。



   空き家が全国的に増加し続け、大きな社会問題となっています。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、空き家は全国で846万戸、前回の調査(2013年)結果と比べて、26万戸も増加しています。これは、総住宅数に占める空き家の割合は(空き家率)は13.6%と7戸に1戸が空き家の状況です。N研究機関の空き家予測では、2033年には空き家戸数は27%(4戸に1戸は空き家)を超えると予測してます。

 

   政府の空き家対策は、平成26年11月に成立した「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家等対策特別措置法)に続き、平成30年7月に都市部のスポンジ化対策として「改正都市再生特別措置法」の施行や、今年6月に戸建て住宅を福祉施設や商業施設などに用途変更する際の規制を緩和する「改正建築基準法」の施行など、加えて、売却した場合の譲渡所得税等の軽減措置などの税制改正、空き家問題については、加速的に対策を打ち出しておりますが、有効打には至っておりません。



   ご相談例1:それでは、相続した実家の空き家対策は、どうしたら、いいでしょうか。

 

   生まれ育った実家は、誰しも愛着はありますが、結論から言えば、「売れるうちに、早期に、売る」ことが大鉄則です。決して、問題の先送りをしないことです。先送りすれば、解決策は、遠のき、次の相続人にまで、固定資産税の負担や家の維持管理等の負担が引き続き残り、大きな負担・負債となります。

 

   2019年の税制改正においても、相続した家を売却した場合、3,000万円の特例控除も2023年末まで延期、また、被相続人が居住してなくて、相続開始直前まで老人ホーム等に入居した場合も適用可となりました。この特例は、相続開始から3年が経過する年の年末までに売却しなければ適用を受けれませんので、空き家を処分するか・維持するかについて、早期に決めることが必要です。

 

   売却を検討する場合、相続した土地の条件(都市計画区域(市街化区域・市街化調整区域)や用途区域、前面道路など)について、再建築可・不可なのか、ここの確認が最重要です。

 

   たとえ、空き家の状況(リフォーム済)が良好であっても、再建築できないと地域、または、建築物であれば(建築時には問題なかったが、その後の法改正で現行法では不適格である物件を「既存不適格」といいます。)、買い手は見つかりませんので、売却方法の検討が必要となります。そうした場合、隣接地の所有者に買い取ってもらうことや、地方自治体が移住・定住の推進するために、空き家バンクを運営してますので、空き家バンクへの登録も有効な手段です。

 

(「空き家バンク」は、こちらへ)


   ご相談例2:上記以外の対処方法は、ないでしょうか。

 

   例えば、すでに東京に住宅を持っていて、相続しても、空き家となることが見込まれる場合には、相続しないことが有効な手段です。

 

   現実には、預貯金のみ相続して、将来の負担となる不動産(実家の家屋・宅地)だけを相続放棄することは認められていません。相続する対象は債権・債務を含めたすべての財産となりますので、金融資産を含めての相続放棄(相続を知ってから3ヶ月以内)の決断が必要となりますが、売却等の処分が厳しい状況の場合は、他に相続可能な相続人がいる場合には、相続放棄の検討も必須でしょう。


徒然のひとこと

 当方も、遠く離れた実家(空き家)の家・宅地・農地を相続して、日々、苦戦しております 。家は、帰省するたびに、風を入れ、掃除・清掃、また、宅地・農地は、2ヶ月で伸び放題の草木などの草刈り・除草・耕起・野菜等の栽培管理で、1回あたり少なくても3日以上かかる作業を2ヶ月に1回、老体に鞭打ってやってます。

 

   今年は、特に、台風・長雨等による家屋等の被害や、風雨による建物の老朽の進行が著しく、大きな経済的な負担となってしまいましたので、このままやる限界も感じている今日このごろです。

 

 このため、不動産として有効活用すべき、資金を貯めて、収益物件としてその活用を図る準備をしております。このままの大きな労力負担の状態で、次世代につなぐことは絶対に避けなければと、決意しております。

 

 当事務所では、一般的な相続に関するご相談に加え、空き家・宅地・農地を含めて、相続した後の不動産の管理・処分等について、コンサルタントも対応しておりますので、お気軽に、ご相談ください。