東京の人口増加で、今後、どうなる?


東京オリンピック選手村(建設中:R1.8.10)【晴海フラッグ】
東京オリンピック選手村(建設中:R1.8.10)【晴海フラッグ】

   日本の総人口が急激に減少する中で、東京の人口は増え続け、東京一極集中が進んでいます!

   私が住んでいる東京都江戸川区の人口が2019年7月に70万人を突破しました。都心への通いやすさと子育てのしやすさを背景に、駅近のマンション等を中心に、20~30代の転入等が目立っています。昨年は転入者の6割を20~30代が占めてます。50万人の到達は1980年、60万人は1996年、そして70万人が2019年と、人口が増え続けています。


   また、この8月27日に東京都から発表された令和元年8月1日現在の【「東京都の人口(推計)」の概要】によれば、東京都の人口は、1,394万人で、昨年の同時期と比べて約10万人増加してます。一方、日本全体の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに、その後、減少が続き、2019年8月1日(概算値)では、1億2,623万人と約10年間で185万人も減少しています。 

   そんな中で、東京の人口は増え続け、特に、東京23区への人口集中が顕著となっています。東京23区の人口が、増え続けている理由は、何なのでしょうか?


  人口増減の要因は、社会増減と自然増減ですが、東京の人口増加は、社会増、つまり、他の地域から東京に転入する人が2012年以降、増え続けています。また、自然増も、都内に転入して、出産・子育てをする若い世代が増え続け、2016年以降、増加に転じてます。

   それでは、東京のどこに、転入しているのでしょうか?

   東京都の市区町村ごとの人口データを見ると、江東区・杉並区・世田谷区・大田区に毎年3,000人以上が東京外から転入しています。(東京23区別の人口は、どの区でも10年前と比べて増えてます。)


   なぜ、東京23区に集中するのでしょうか?

   東京23区に人口流入する大きな要因の一つには、「働く場所がある」ことに加え、東京の求人倍率は高く、人材確保に取組む企業が多く、また、賃金も上昇傾向にあり、非正規から正社員へ登用する企業も少しずつ増加傾向となって、パート・アルバイトの時給も上昇しています。

   また、別の要因として、今、若い共働き世帯が増える中、起こっている現象が「より職場に近い、より都心に住む:職住近接」の新しい動きです。共働き世帯の中には、子育て環境を郊外へという傾向は以前より減っており、忙しい共働き世代にとっては、各方面へのアクセスの方が最重要となり、その結果、都心または都心に近いエリアに住みたい人が増えています。

   加えて、都心に人口が集中するもう一つの要因として、中高年世代の都心への住み替えが挙げられます。現在、その世代の方々は子育てを終え、また自身の高齢化も重なって、郊外での生活に不便さを感じる方も多く出始めるようになりました。その結果、病院や交通など生活インフラが整っている都心へ戻ってきています。



   このどちらの階層も、東京23区の生活しやすい「マンション」への住み替え意識が高く、新築・中古マンションともに購入者が増えている状況です。こうした現象がマンションの相場の価格上昇を支えていますが、これから、マンションの価格は、どうなるでしょうか?

   東京オリンピック開催まで、あと1年を切り、選手村の建設等が続いてますが、建設費の高騰も落ち着きを見せ始めています。オリンピック以降も都心では多くの再開発が予定されており、これら立地の良い区(千代田区・港区・中央区)の地価に関しては大きく下がることはないと予想されています。しかし、周辺の地域では、今後、下降傾向になることも予想され、さらにその中でも立地条件や物件内容によって、価格の動向に差が生じるとの見方もあります。

   そのため、これから、23区内に住まいを確保する場合、将来設計をもとに、マンション(60~70㎡が中心)の購入(中古マンション含む)・賃貸を検討する世代も増えていると言われてます。

   これから、都内23区の住まいをご検討される方は、マンション等の価格動向に注視して、将来の資産価値が下がらない物件を中心に、住みたい街の住宅事情に係るウオッチングが必要な状況です。


 この8月28日に国土交通省から「住宅の不動産価格指数、54ヶ月連続して前年同月比上昇」(全国:令和元年5月)が公表されました。マンション(区分所有)は、2010年を100とした不動産価格指数が147.6になってます。この「不動産価格指数」とは、年間約30万件の住宅・マンション棟の取引価格情報をもとに全国.・ブロック別・都市圏別・都道府県別・取引主体別に毎月の不動産価格を指数化したもので、国土交通省が毎月公表しています。

 これを見ると、全国的にマンション価格が、ずっと上昇基調で推移していますが、戸建住宅は横ばいか下降しており、マンションと比べて大きく乖離がみられます。これは、今、住まいを求めている方が、郊外の一戸建ての住宅ではなく。職住近接や都心回帰のマンションに関心が高いことを現してます。

 今後、マンションの購入等をご検討の方は、マンションの販売価格動向に注視しつつ、将来の資産価値も見越し、「どこに住むのがいいのか」を含んで、慎重な検討が必要な状況かと思います。 


【国土交通省:住宅の不動産価格指数、54ヶ月連続して前年同月比で上昇(令和元年8月28日)】
【国土交通省:住宅の不動産価格指数、54ヶ月連続して前年同月比で上昇(令和元年8月28日)】

徒然のひとこと

 行政書士業務として遺言執行をしておりますが、被相続人所有のマンションが当時の購入額より高く売却できたケースは少なくありません。

高く売却できる決め手は、マンションの立地条件・物件内容となりますので、これからマンションを購入を検討される方は、これらの最重要な項目について、ご留意してください。