人口減少、これから、どうなる!?


◆少子高齢化については、問題となって20数年経ってますが、抜本的な解決には至ってません!

 まず、現状ですが、平成30年版高齢化白書によれば、日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は、28%台の3,515万人(H25年は26%台)となってます。「団塊の世代(1947年~1949年生まれ)」が75歳以上となる2025年には、65歳以上は3,677万人(高齢化率30%台)に達すると見込まれています。

   26年後の2045年には、すべての都道府県において、65歳以上の高齢者の人口割合が3割を越える見込みです。(国立社会保障・人口問題研究所の資料)

   出生数でみると、年間出生数は2016年に100万人を割り、2017年の年間出生数は 94万人(合計特殊出生率1.43)と過去最低となってます。団塊の世代の出生数と比較すると、団塊の世代は1年間に約270万人生まれてますので、70年経って、子どもの出生数は、1/3に激減してます。今後も、出生数は減少を続け、2065年には、1年間の出生数56万人になると推計されています。

  一方、死亡者数は、2016年には130万人、2017年は134万人を超えて、戦後最大となってます。単純に差し引くと、2017年は、「出生数94万人」-「死亡者数134万人」で、40万人が減少(自然減)し、今後、2025年には、68万人減少、2040年には94万人の減少が見込まれてます。


「平成30年版高齢社会白書」から抜粋
「平成30年版高齢社会白書」から抜粋

◆皆さん、急激な人口減少、驚きませんか!?

   今年も1年間で、40万人規模の都市(県庁所在地でみれば、現在の宮崎市や岐阜市の規模)の人口が1年でなくなるわけです。20年後には、毎年94万人規模の都市(現在の北九州市や千葉市の規模)の人口が1年でなくなることを表わしてます。

   これは、20年後には、毎年90万人規模のマーケット(市場)がなくなることを意味してますので、人口の急激な減少は、当然、産業も停滞・減退し、わたしたちの未来に、厳しい現実が待ち受けていることが容易に予想できます。

 

   今後、出生数が増えるかと言えば、国立社会保障・人口問題研究所、厚生労働省の統計でみれば、出産年齢の女性(25歳~39歳)は、2015年には1,080万人ですが、25年後の2040年には3/4の800万人と見込まれてますので、出生率は2017年1.43(2015年1.26%)と上昇してますが、出産年齢の女性の減少により、出生数は減少し続けます。高齢化とともに、少子化は、避けて通れない深刻な問題です。


   この少子化・高齢化の問題は、わたしたちの今後の暮らし・生活に関して、負のスパイラルが一層進むことが懸念されてます。

 

 医療・介護・子育て・働き方などの対策はされていますが、社会保障費の増加や医療機関等の不足に加えて、80歳以上の高齢者の急激な増加、深刻な労働力不足、急増する空き家問題、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が激減する地方都市の空洞化(首都圏一極集中)など、将来の大きな問題・課題として捉え、対策はしているものの、解決できる見通しは立っていないのが現状です。


◆生産年齢人口が減少すると、どういった問題が生じるでしょうか!?

   まず、真っ先に影響が出るのが、各分野・業種における「働き手不足」に直面するといわれてます。2030年半ばには、生産年齢人口は1,000万人減少すると見込まれてます。 この「働き手不足」の対策の1つに、昨年12月に決定した改正入管法による「外国人材の受入れ(5年間で最大34万人)」はこの4月から14分野で取り組まれます。

   しかしながら、現状でも14分野での人手不足は58万人といわれ、5年後には145万人に膨らむとの予測もあり、5年間最大の34万人の外国人材を受入れても、不足の2割程度しか埋め合わせできないとの見方もあり、一定の効果は見込めますが、現実的には、働き手不足の解消までには、厳しいとする意見も少なくありません。


徒然のひとこと

◆では、なにを、どうすれば、いい!?

   急激な人口減少は、大変厳しい現実です。

 

 少子・高齢化・働き手不足の対策に必要なことは、人口が急減する前提で、各分野(行政サービス含む)において、人口規模・財政規模に合った更なる効率化・コンパクト化(国・地方の行政機関等を含む)の対策や、現在、推進している「子育て世代の地方移住・働き方改革・子育て支援など」の継続的な対策は、必須といえるでしょう。

 

   高齢化の問題は、抜本的な解決策は難しいところですが、高齢者自身の健康維持(認知症等の予防を含む)に加えて、現在、一部地域では、高齢者の暮らしを地域が支える「地域包括ケアシステム」の構築が推進されてます。これが、都会・地方の多くの地域においても、機能的に整備されれば、高齢者の安心した暮らしが実現できるのではないでしょうか。


厚生労働省「地域包括ケシステム」より抜粋
厚生労働省「地域包括ケシステム」より抜粋

 ◆少子化対策は、この20年間、様々な対策がされましたが、結果としては、「子どもが増えていない」のは、なぜでしょうか?

   待機児童の問題や子育て環境、子育て支援、子育て世代の安定した収入の確保などの子育ての要素に加え、結婚しない人が増えている現状・実態、そして、その有効な対策などについても、検証すべき点が多くあるのでは、ないでしょうか。