相続・遺言!準備できてますか?


◆相続・遺言の相談が増えてます!

   今年7月の相続法(民法)改正のお問い合わせや、遺言書がなかったために、相続人間での遺産分割協議での話し合いが進まず、困ってのご相談者が増えており、相談内容も多岐に渡っております。

 当事務所では、これまでに多くの相続に関する「遺言書作成」や「遺産分割協議」のご支援に携わっています。特に、遺産分割協議では、各相続人の状況等が異なっていることなどから、相続人間で協議書が合意できるケースは多くはありません。遺産相続をめぐる家族間・相続人間のもめごとを避けるのは、事前に、遺言書を作ることが最善の解決策です。

 

 遺言書の作成には、自分で書く「自筆遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆遺言の場合、自分で手軽に書くことができますが、内容に不備があれば、無効になる恐れがあります。自筆遺言は本人が手書きで作成する方式ですので、本人の自筆かどうか、書いたときに認知症を患っていなかったか、作成時の病状で遺言が本人の意思で書けたかどうか、などの疑いが生じる可能性があります。このような疑いが少しでもあると相続人間の争いとともに、遺言書そのものが無効となっててしまう可能性があるのです。

 

   自筆遺言において、これまでは、パソコン等(代筆含む)は一切不可でしたが、今回の改正で、財産目録だけは自筆でなくてもパソコン等で可能となったところです。(自筆遺言の方式緩和:施行は2019年1月13日)
   また、自筆遺言は、これまでは住所地の家庭裁判所での検認が必須でしたが、今回の改正で「法務局における遺言書保管制度」の新設で検認が不要となります。(自筆遺言の保管制度:施行は2020年7月12日)

 

 以上、今回の改正で、これまでの自筆遺言より、一部のデメリット(すべて自筆、検認要)は解消されたところですが、改正後も、本人の意思で書いたか否かの疑義などによって、相続人間で、遺言書そのものの信頼性などが争われ、無効とされる恐れは依然として残ってます。


◆公正証書遺言がおすすめです!

 

   一方、公正証書遺言は、公証役場の公証人(裁判官や検察官を経験した専門家)が本人(依頼者:遺言者)に内容を口述してもらい、その意思を一つひとつ確認して作成します。認知症の疑いがある場合や一部の相続人が自分に有利となる内容を強制的に作成されているような場合には、公証人は、遺言書を作成しません。特に、病院等に出向いての遺言書作成において、認知症等を発症している場合には、本人の遺言能力を認めることは困難であるからです。

   よって、本人に遺言能力がないと公証人が判断した場合には、公正証書遺言の作成を中断します。逆に、作成をした場合には、遺言の意思が確認された書面であるといえます。公正証書遺言は、公証人以外の第三者・他人が公正証書遺言を作成することは、できません。 また、遺言の作成には相続人の同席はできませんし、立会の証人2人は相続人の利害関係者はできませんので、本人の意思に反しての遺言書の作成などの問題が生じることもありません。

   以上の理由から、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言の作成がおすすめです。公証証役場で作成された公正証書遺言は公的な書類となり、信用力がぐっと高まりますので、法務局における登記申請における証明書類として有効となります。

 


◆遺言執行者を決めておきましょう!

 

   遺言者の意思を確実に実現するためには、遺言の内容に従って、迅速に手続きを行う「遺言執行者」を指定することができます。遺言執行者を指定する場合には、必ず遺言でしなければなりません。(民法1006条第1項)

 

 遺言の執行については、預貯金等の解約・払戻し、不動産の登記申請、未支給の年金請求手続き、財産の処分など、法律の知識が必要な場面が多々あります。このため、遺言執行の手続き等を円滑に迅速に進める必要から、相続の手続きに精通した公正・中立な立場の専門家を「遺言執行者」に指定する必要があります。 


  ◆法定相続情報を利用しましょう!

 

   また、H29年5月29日から全国の法務局で「法定相続情報証明制度」がスタートしております。

 この制度を利用(手数料は無料)することで、これまで関係の各金融機関等に順番に戸籍謄本の原本の束を何度も出し直すなど、煩雑な手続きが必要でしたが、現在では、この制度の利用がほとんどの金融機関等に周知・認知されており、戸籍謄本の原本を提出することなく、「法定相続情報」のみで手続きが可能となったところです。

 

  この申請の手続きができるのは、相続人以外に、委任できる専門家は、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士の資格者に限定されてます。

 

 この「法定相続情報」の作成は、上記の専門家の中でも、相続に精通した専門家でないと迅速にできない場面が見受けられますので、遺言執行者の指定においては、この手続に精通している専門家を指定することが望ましい状況です。

 


徒然のひとこと

 遺言書がないために、被相続人が亡くなられた後、遺産相続をめぐって家族間の不和が生じるご相談が多くなってます。遺言書さえ作っておけば、円満に解決できた事案は多くあります。

 

 現在、健康に十分注意していても、突然の病・事故など防げない場面も少なくありません。年齢に関係なく、突然の病などで遺言書が作成できない事態になる前に、相続・遺言について、考えてみませんか。

 

   当事務所は、多くのご家族の遺言・相続に関してのご相談や遺言執行に対応させていただいておりますので、お気軽に、お問い合わせください。