相続未登記の問題って、なに?


相続未登記の問題って、ご存知でしょうか。

 

~誰の土地か、わからない?~

土地が、震災の復興や土地利用・道路などで、大きな阻害要因となっていることが、最近、マスコミにも大きく取り上げられてます。

 

最近の相続の相談では、「実家の土地・家屋・山林を相続する予定ですが、相続未登記の家屋・土地などがあって、どうしたらいいでしょうか?」と困ってのご相談が少なくありません。今、問題となってる土地の「所有者不明化」問題です。

 


どうして、相続未登記の土地・家屋などが、あるのでしょうか。

 

理由は、大きく分けると2つあります。

 

一つ目の理由は、土地・家屋の所有者が死亡すると、相続人は相続登記を行い、不動産登記簿の名義を先代から自分にへ書き換える手続を行います。ただし、相続登記は義務ではなく、任意となってます。このため、名義変更するかどうかは、時期を含めて、相続人の判断に委ねられてます。相続登記が行われなければ、相続人の誰かが利用している状態になりますが、時の経過とともに、次の世代に移れば、法定相続人は、ねずみ算式に増えていきます。

 

2つ目の理由は、「時間と費用を掛けて、登記しなくても、誰も困らない」の単純な理由がほとんどです。登記の必要性は、土地の売却や住宅ローンを組むための「抵当権設定」には必要ですが、その必要がなければ、「名義が自分でなくても、何も困らない」、登記をしないことのデミリットは、地方では少なかったことにあります。

 


それでは、相続未登記の結果、どうなったのでしょうか。

一例では、3代(1代は約30年)にわたって相続登記がされていない土地(約200㎡)で、ある市町村が調べた結果、約150名の相続人を特定した記事がありましたが、特定するまで、多大な時間と労力が必要だったようです。

 

さらに、登記の名義変更するには、約150名の相続人全員から同意を取り付けなければなりません。相続人の中に、所在不明や海外在住など、連絡・所在のつかない者がいれば、家庭裁判所の手続が必要となり、さらに、時間と費用がかかります。個人の相続案件レベルでは、もはや、解決は不可能に近い状況です。

 

土地の「所有者不明化」問題は、これまでは、制度見直しの基礎となる「不利益の定量化や分析」も容易ではなく、国や各自治体も積極的に解決に乗り出すことなく、「先送り」されてきたことが現実です。今後、ますます深刻化が増すばかりの状況が見えてきた現在では、課題は多いところですが、関係各省庁では、できるところから、応急的な制度設計に着手しているところです。


こうした中、農林水産省は、2016年12月に、農地の「相続未登記」について、農業委員会を通じて、全国調査(「相続未登記農地等の実態調査」)の結果を公表してます。農地の登記名義人の死亡が確認された農地の面積は約48万ha、登記名義人が市町村外に転出して、住民基本台帳では生死が確認できず、相続未登記の恐れがある農地の面積は約46万haが確認され、合計の農地面積約93万haが存在することが判明しました。

 

全国の農地面積(約450万ha)の約2割が、なんと、相続未登記の農地となってます。このうち、遊休農地(1年以上耕作されておらず、引き続き耕作される見込みのない農地等)になっているのは6%(約5.4万ha)にとどまり、相続未登記の農地の多くは、実際に農業(耕作)が行われてます。

 

この相続未登記の農地について、農地中間管理機構に貸付けする場合、法定相続人を探索した上で全員の同意を得ないと農地の貸付け進まないなど、農地の活用において、大きな阻害要因となっております。

 

そこで、農林水産省は、関係各法の改正で「農業委員会が遊休農地の所有者等を確知することができない旨の公示を行うに当たっての農地の所有者等の探索については、その方法を政令で明確化する」などの制度設計に着手したところです。

 

また、国土交通省では、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」をH30.3.9に閣議決定し、現在、衆議院で審議中のところです。(詳しくは、こちらへ(国交省サイト))」


しかしながら、はたして、「所有者不明化」の問題は、解決できるのでしょうか。

人口減少と超高齢化(2025年問題)(※徒然やまとブログ参照)が進む中で、世代交代を転機に、管理できない地方の農地・山林や資産価値の低く、また、売買が難しい不動産は、利益より負担(毎年の固定資産税)が大きいため、今後、相続人全員による「相続放棄」が増えることは、避けられない状況が予想されています。

 

土地の「所有者不明化」問題は、「先送り」され続けてきましたが、「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」の方針のもと、関係各省庁の議論が本格化してきた段階です。

 

今後、「相続登記の義務化・簡略化・費用の軽減化」や「相続放棄した場合の受け皿・再活用」などの制度設計について、根本的な課題は多くありますが、次世代への土地の継承のあり方を含め、土地の法整備・改善の検討が急務と考えます。

 


徒然のひとこと


相続人全員が相続放棄した場合、どうなる??
また、生涯未婚率が上昇する中、独身で兄弟もなく、戸籍上、相続する法定相続人がまったくいない場合もあります。こういった場合は、どうなるのでしょうか?


 民法では、「所有者のいない不動産は、国庫に帰属する」とありますが、相続人全員が相続放棄した不動産(土地・家屋・山林等)がそのまま自動的に国に帰属するのではなく、家庭裁判所の「相続財産管理制度」による手続が必要となります。

具体的には、利害関係者が家庭裁判所に対して、相続財産管理人の選任の申立を行い、選任された相続財産管理人は、財産を売却し、債務などを清算した上で、換価金の残額を国庫に納付する手続となります。

しかし、利害関係者がいなければ、相続財産管理人の選任はありませんので、その土地・家屋・山林等は、誰も所有権を主張しないまま、「放置された荒れ地・空き家・荒廃が進む山林」となります。


今後、実家の家屋・土地などの相続について、難しい案件がある場合には、早めに対策が必要となりますので、当事務所に、お気軽に、ご相談ください。