配偶者の相続分の優遇案とは?


法務省の法制審議会民法(相続関係)部会において、相続制度の見直しが検討されてるは、ご存知でしょうか?

先般第18回会議(H29.2.28)の部会で「新たな見直し案」がまとめられ、公表されました。


遺産分割において、「新たな配偶者の優遇案」は、次のとおりです。

①結婚から20年以上過ぎた夫婦で

②居住用の建物や土地を

③生前贈与や遺言遺贈を受けた場合

これらの贈与や遺贈の対象の不動産を遺産総額の計算に含まないというものです。


現在の相続制度では、遺産の相続人が配偶者と子供の場合、婚姻期間に関係なく、配偶者の取り分は全体の1/2です。

ですから、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた配偶者が、これからもその住居で暮らしていくために住居を相続した結果、他の遺産をまったく相続できないというケースがあります。

また、住居以外の財産がほとんどない夫婦の場合には、配偶者が遺産分割のために、住居を売却せざるえないケースもあります。


これに対して、今回の優遇案では、自宅の贈与・遺贈を受けていても、配偶者は自宅を取得分とカウントされずに、別途、他の遺産についても自分の法定相続分に応じた遺産をもらえることになります。

 「新たな見直し案」による民法改正が実現すれば、配偶者は住居を除く全財産の1/2を得ることができます。 


【①結婚から20年以上過ぎた夫婦に限っていること、②被相続人から贈与や遺贈という積極的な行為が必要】の要件がありますが、「新たな配偶者の優遇策」として、年内に取りまとめを目指してるところです。

 

(※ 参考:法務省の該当サイトはこちらです)➡ http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900310.html


 【徒然のひとこと】

全国的な平均値でみれば、相続財産のうち、50%以上が不動産となっております。

しかし、一般的な家庭でみると、相続財産のうち80%不動産が占めてる現状です。

 

このため、遺言書がない場合には、遺産分割協議において、協議がまとまらずに、家庭裁判所に調停を申し立てるケースもあります。

この見直し案に沿って、民法が改正されれば、被相続人が亡くなられたあと、遺産分割協議において、不動産(住居)の相続で揉めることなく、相続人間で円満に相続され、配偶者の経済的な安定が期待されてます。